作り手の声:ガラス作家 光井威善さん VOL.2(JP ONLY)

HULS Gallery Tokyoにて2024517日から31日まで開催中の光井威善 作品展 『深々しんしん』。光井さんは自然豊かな富山に工房を構え、吹きガラスの手法を用いて制作されています。HULS Gallery Tokyoでは3回目となる今回の企画展に合わせて、作品の見どころや新作についてお話を伺いました。

*前回の企画展でのインタビューはこちら

- 今回の展示タイトル「深々」は、光井さんが考案されたとお聞きしました。どのような意味が込められているのでしょうか。

作品のもつ雰囲気と制作しているときの感覚、2つの意味を込めています。作品にはいろいろな色を使いながらも、しんとした静かな雰囲気を出せるように意識しています。また、ここ数年で吹きガラスに取り組むときの感覚が変わってきました。例えると、以前は浅いところを自由に泳いでいたけれど、最近はより深いところへ短時間で集中して「潜水」するイメージです。より細かいところが気になるようになって、自分の中で求める完成度が高くなっているのかもしれません。そうしたことから、自然と思い浮かんだタイトルです。

- 展示に向けて意識されていたことはありますか。

これまでの2回の展示と同じく《silence》と《Amber on Gray》の2種を出品していますが、《Amber on Gray》は新しい工房に移ってから作ったことがなかったので、試したいと思っていました。これまではグレーの上にアンバーを貼り付けるような作り方をしていましたが、今回《Gray on Amber》という名前で出している作品は、2色を馴染ませてから吹くという作り方をしています。説明が難しいのですが、前者では2色が重なって「溶け合う」のに対して、後者では一体となって「溶け込む」ようなイメージで、それぞれに違った良さがあります。

silence》のブルーグリーン×アンバーのタンブラーも《Gray on Amber》と同様の新しいやり方で作ったもので、2色が溶け込んだグラデーションになっていて、グラスとは異なり薄く仕上げています。

- DM作品の《silence ○△□》についても教えてください。

蓋物ですがほぼオブジェとして作っています。もっと大きくしたかったのですが、作品の完成度を考えるとこのサイズがベストかなと。これまでは2色でしたが、今回はイエロー×アンバー×ネイビーの3色で作りました。蓋と身を別々で作った後、間に研磨用の砂を挟んで何度も回してぴったり合うまで少しずつ調整していくので、とても時間がかかります。大変ですがその分思い入れのある作品です。

- 《片口》は前回とまた異なるデザインで素敵ですね。

《片口》は前回の展示以来、2年ぶりに作りました。前回は注ぎ口の部分を後から付けていましたが、今回は縁をナイフで曲げて注ぎ口にしています。いろいろと試して、シンプルですが水切れもよく納得のいく形になったかなと思います。

- silence》のボウルも好評です。

ボウルはヨーグルトを入れたり、大きめの湯呑みとしても使えます。ボウルや低いタイプのグラスは自宅でもよく使っていて、飲みものよりもキムチとか食べものを入れることが多いですね。

- 自信作はありますか。

ガラスの厚さは作品の印象を大きく左右するのでこだわっているのですが、《Amber on Gray》の深いボウルはうまく吹けたので気に入っています。

- これから挑戦してみたいことはありますか。

昨年、中国で個展をしたときに飲んだ中国茶が美味しくて好きになり、茶器を作ってみたいと思うようになりました。試したところ、飲める温度であれば熱いお茶を入れても大丈夫そうなので、湯呑や宝瓶などをガラスで一式作ってみたいです。

- 最後に、お客様へメッセージをお願いします。

実際に手に取ると一つ一つの微妙な違いを感じてもらえると思うので、すでに作品を持っている方にも初めての方にも、細部を見てその違いを楽しんでいただきたいです。

光井威善さんコレクションページ:
https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/takeyoshimitsui