《作品紹介コラム》美しい佇まい – 暮らしを彩る工芸展(JP only)

HULS Gallery Tokyoにて2022年8月5日から27日まで開催中の「美しい佇まい – 暮らしを彩る工芸展」。本展に合わせ、各作り手のこだわりが光る個性豊かな展示作品の数々をご紹介します。


・坂倉正紘 / 萩 花器(w180 × d120 × h380mm)

萩焼の陶芸家、坂倉正紘さんの花器。立ち枯れた木のイメージをもとに、紐作りの技法で制作されています。独創的な造形ながら静謐な空気感を纏った、趣ある逸品です。

<作家からのコメント>

山中にて、雨水や湧水が岩肌や木肌を静かに伝い落ちる様子、その風情に感応し、制作しているシリーズです。制作方法は作品ごとにさまざまですが、自然物のような表情と、形に添ってゆっくりと流す釉薬の掛け方は共通しています。

https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/202208-utsukushiitatazumai/products/masahirosakakura-3


・澤克典 / 信楽 壷(Φ400 × h480mm)

信楽焼の陶芸家、澤克典さんの壺。ざらりとした土の質感、勢いよく流れ落ちる釉、緑から青へと変化する窯変は、穴窯の火が最も強く当たる一番前で焼成されたという臨場感をそのままに伝えてくれます。直径約40cmの大きさも相まって貫禄ある佇まいですが、下に向かってすぼまった優美な形はモダンな雰囲気も感じさせます。


・田中瑛子 / オブジェ 葩 -はなびら-(w500 × d50 × h500mm)

木地挽きから漆塗りまでをお一人で手がける漆芸家、田中瑛子さんが新たに挑戦するオブジェ作品。細部まで丁寧に仕上げられた葩(はなびら)のひだが、赤と黒の濃淡をより鮮やかに魅せています。優美かつ堂々とした輝きを放つ一品です。

<作家からのコメント>

私が漆に出会って20年ほどが経ち、その間に向き合い方、捉え方も少しずつ変わってきたように思います。受け継がれてきたきらびやかで凛とした強さに惹かれこの道に入り、その技法を学ぶうちに自分の感性を掘り下げ強められる技法と表現を見つけました。そして今はそれらとともにその可能性を探っているように思います。工芸というジャンルであるゆえに踏み越えられなかった線の先にある可能性、それを咲かせる為の一欠片と成れ、そんな想いを込めました。


・谷本貴 / 伊賀花器(w190 × d80 × h220mm)

伊賀の伝統と品格を受け継ぎながら、ダイナミックな作品を生み出す谷本貴さんの花器。ゴツゴツとした自然物のような表情と、中央に穴が空いた独創的な形が目を引きます。

<作家からのコメント>

ラフな土の動きや、作為を見せないようにする作為みたいなところは常に意識して制作しています。この花器は仕事場を移した後、前からやってみたかった技法に初めて挑戦した作品です。ここからいろいろ発展させていくんだぞと、自分への発奮を促すものでもあります。

https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/202208-utsukushiitatazumai/products/takashitanimoto


・中里太亀 / 唐津南蛮叩き瓶子(Φ220 × h310mm)

唐津焼の陶芸家、中里太亀さんの瓶子。紐作りによる叩きの技法で梅瓶型に成形した、流麗なシルエットが美しい作品です。表面にうっすらと浮かぶ叩きの板目が趣ある表情を作り出しています。

<作家からのコメント>

無釉で薪窯で焼成した、窯変による灰被りのグラデーションを楽しんでいただければと思います。

https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/202208-utsukushiitatazumai/products/takinakazato-15


・中里健太 / 粉引線文壺(Φ240 × h225mm)

父の中里太亀さんに師事し、唐津で作陶を行う中里健太さんの壺。2つの鉢の口同士をくっつけて作ったという柔らかな球形が魅力。

<作家からのコメント>

真っ黒な2つの鉢をくっつけて、上部に穴をあけ口を作り、櫛で文様を施した後に白い泥を掛け流して壺にしました。低温の灰が多めにかかってガサガサとした感じになっています。

https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/202208-utsukushiitatazumai/products/kentanakazato-7


・馬場隆志 / Torso ~ 民衆を導く自由の女神(w90 × d160 × h330mm)

備前焼作家の馬場隆志さんによる、人体をモチーフにした《torso》シリーズの作品。こちらはドラクロワの名画「民衆を導く自由の女神」をイメージして制作されたもの。「行くぞ!明日も頑張ろう!と言ってくれている気がする」という馬場さん。シャープな部分と緩やかな曲線が共存する立ち姿は躍動的で、私たちを優しく鼓舞してくれているようです。

https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/202208-utsukushiitatazumai/products/takashibaba-24


・馬場隆志 / 窯変黒花入(Φ170 × h285mm)

土を削ったりちぎったりして、土の表情を引き出そうと試みたという本作。彫刻のような造形美と複雑な景色が見どころ。

<作家からのコメント>

火前の最も激しく焼ける場所に転がして焼成しました。上の面にたっぷり乗った灰が溶けて流れ、再現不可能な複雑な景色が生まれました。

https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/202208-utsukushiitatazumai/products/takashibaba-25


・森大雅 / ガキガキグルグル(Φ220 × h330mm)

備前焼作家、森大雅さんによるオノマトペシリーズの作品。むき出しの土がねじれながら上昇していくかのような形状は、見る角度によって印象が変化し、土そのものが秘めるエネルギーを感じさせてくれます。

https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/202208-utsukushiitatazumai/products/taigamori-1


・森大雅 / ​​ちゅるりん(w270 × d220 × h160mm)

こちらもオノマトペシリーズの作品。「ちゅるりん」という音の響きに着想を得たユニークな形に、作家の遊び心を感じます。想像が膨らむ楽しい一品です。

https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/202208-utsukushiitatazumai/products/taigamori-2

 

「美しい佇まい – 暮らしを彩る工芸展」企画展ページ: https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/202208-utsukushiitatazumai

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