作り手の声:陶芸家 澤克典さん・鈴木大弓さん(JP ONLY)

HULS Gallery Tokyoにて2023年7月7日から22日まで開催中の澤克典・鈴木大弓 二人展 『土と技―進化する景色』。信楽で生まれ育ち、幼少期より陶芸に親しみながら美濃で経験を積んだ澤さんは、薪窯焼成による信楽や織部などの作品を手がけています。一方、韓国で学んだ後、信楽・伊賀で作陶を続けてきた鈴木さんは、粉引、三島、刷毛目といった李朝系の作品を中心に、信楽や瀬戸黒など幅広い作品に挑戦されています。仲の良いお二人に、今回の企画展に合わせてお話を伺いました。

- お二人は以前から交流があるとお聞きしました。いつ頃からのお付き合いなのですか。

鈴木さん:韓国での修行を終えて、独立のために信楽へ行ったときに知り合ったので、2007年くらいからですね。克典さんに制作する仕事場を紹介してもらったり、グループ展に誘ってもらったりして。

- お互いにとってどんな存在ですか。

鈴木さん:僕は勝手にお兄ちゃんだと思っています(笑)。

澤さん:友だちみたいな感じですよ。展覧会で一緒になる機会が多いから、そのときは夜ごはんに行ったりとか。お互いの工房に遊びに行ったりもします。

- お互いの作品の魅力はどんなところだと思いますか。

鈴木さん:おおらかさとパワー。小さいときからやきものに触れていたからこそ出せる雰囲気なのかもしれません。すごく魅力的だなと思います。

澤さん:鈴木くんは作る量が半端じゃなくて、その中から洗練されたものだけを出せるところがすごいなと思います。あと、韓国で修行をしていて、李朝系の作品がメインじゃないですか。李朝系は派手じゃないから、例えば粉引は一見ただの白い器に見える。すごく深くてシビアなところをやってるなと。

鈴木さん:そうですね。どのやきものも難しさはあると思うんですけど、もっと派手なのがやりたいと思うときもあります。

澤さん:それで勝負していくわけやから、すごいなと思いますよ。僕の場合は信楽と織部で全然違う仕事内容なので、自分の中では良い気分転換になっています。絵付けばっかりしているとしんどくなるんですよ(笑)。信楽はそういう手間がないけれど、自然に任せる部分が大きいのでごまかしがきかない。それぞれ全然違うから、バランスが取れていいのかなって。

- 制作する中でこだわっていることはありますか。

鈴木さん:すべての段階で、できるだけ手を抜かないこと。やきものって、一つ一つ積み上げていかないとできないんですよね。どこかで手を抜くと崩れるから。

澤さん:毎日ずっとやってることだから意識はしてないけど、何年もやってるとどういうポイントをきちんとしないといけないかがわかってくる。その感覚を大事にすることかなと。

- 最近の新作や力を入れている作品はありますか。

澤さん:新しく取り組んでいるのは、昨年から始めた呼継の作品。景色はいいけど欠けてしまった作品を溜めてあったんです。それを使って試行錯誤しながらやっています。

鈴木さん:黒高麗は12年前から始めた新しい作品です。釉薬に含まれる鉄の反応の仕方によって色が変わるので、いろいろと試しているところです。あと、粉引は毎回少しずつ変えています。使っていくうちに化粧土と釉薬が一体となって変化していく感じが理想なんです。作った段階ではわからないので、使ってくれているものを見せてもらって変化を確認しています。

- 最後に、器を使う方へメッセージをお願いします。

澤さん・鈴木さん:自由に楽しんで使ってもらえたら嬉しいです。

澤克典さんコレクションページ:
https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/katsunorisawa

鈴木大弓さんコレクションページ:
https://store.hulsgallerytokyo.com/collections/hiroyumisuzuki