宝瓶(宝ひん)の使い方(JP only)

宝瓶とは、取っ手の付いていない急須で、日本茶の味や香りを引き出すのに最適な茶器です。高温で淹れる中国茶や紅茶とは違い、日本茶はおよそ50度から70度の低温で淹れるため、宝瓶から伝わるお茶のじんわりとした温かみも感じることができます。

お湯の温度

美味しい日本茶を淹れるためには、温度がとても重要です。適温で淹れることで、お茶の持つ旨味成分が引き出され、まろやかで風味豊かな味わいを楽しむことができます。一方で、お湯の温度が熱すぎると、お茶が苦く渋い味わいになってしまうため注意が必要です。

適温で淹れるには温度計を使用するのが便利ですが、ここでは古くから行われてきた趣のある方法をご紹介します。それは「湯冷まし」と呼ばれる茶器を使用する方法です。熱いお湯を湯冷ましに入れ、その後宝瓶や茶杯に移し替える動作を何度か繰り返すことで、お湯の温度を適温まで下げることができます。一度の移し替えでおよそ10度低下しますので、使用する茶葉に合わせて回数を設定して下さい。湯冷ましに注ぐお湯の音や温もりを感じることで、心を鎮め、くつろぎの一時を味わうことができます。

1/茶葉を加える

茶葉は宝瓶に直接入れます。一般的には茶さじ2杯で2杯分のお茶を淹れることができますが、使用する茶葉や好みによって分量を調節して下さい。

2/茶葉の抽出

その後、お湯を宝瓶に優しく注ぎ入れ、蓋をしめます。抽出時間は茶葉の種類によって異なりますので、調節して下さい。通常、茶杯2杯に対しての場合、茶葉が水分を吸収するため、2杯分よりも少し多めにお湯を注ぎ入れます。

3/茶杯へ注ぐ

抽出後、お茶の味や濃さが均等になるよう、少量ずつ順に茶杯へ廻し入れます。この時、急須に残った最後の一滴にお茶の旨味が凝縮されていますので、全て出し切るようにして下さい。

質の良い茶葉は続けて2〜3煎ほど楽しむことができます。2煎目は短い抽出時間で、3煎目は高めの温度のお湯でお試し下さい。

宝瓶は片手で美味しく簡単に日本茶を淹れることができる優れた茶器です。ぜひこの機会に本格的なお茶の時間をお楽しみ下さい。